『トリデロック遺跡』は地表から3m程も掘り下げた地層から発見されています。
現在は堆積物の上に樹木が茂り、欝蒼とした林の中ですが、今から3万5千年ほど前には川が流れていたそうです。
現在も近くに『大石川支流』が流れていますが、川底には『黒曜石』が埋まっているとか。
『星糞峠』の黒曜石は色が真っ黒で直ぐに判別できますが、当時も黒曜石を取り出す為に地面をかなり深く掘っていた形跡が在ります。
此方『トリデロック』では、川に流れ出た黒曜石を拾って加工していたと考えられています。
黒曜石は石英などのガラス質の鉱石が、マグマなどの高温に触れて解け、時間を掛けて固まった物です。その成分や固まる迄に要した時間によってガラリと性質が変わるそうです。
『矢じり』や『石刃』などに使用された『鋭い欠け口』を持つ『黒曜石』は『星糞峠産』が最高級とされ、遠く『青森』や『近畿』地方の遺跡でも発見されています。
『トリデロック産』の『黒曜石』は、『星糞産』に比べ若干黒色が淡く、又硬度が柔らかいそうです。(それでも肉など簡単に切る事が出来ます。)
『国武先生』によりますと、「この付近では地表に転がっていた黒曜石を石で割って加工した場所で、完成品は持って行ってしまう為、綺麗な物は出土しない」のだそうです。
『打石器』として『黒曜石』を石で打ち付け割って加工した『丸石』に黒曜石の痕跡が確認できるそうです。
「この石に腰かけて、この丸石で黒曜石を叩いて加工して単でしょうね」
ホントに嬉しそうに説明してくれます。
周囲からは出土した『加工後の黒曜石』を袋に詰め、割りばしで位置情報と共に固定しています。
お昼を食べ終えた『明治大学』の学生さん達が発掘作業に戻ってきました。
いいな。一緒に体験したいな。と思っても片や『学術調査』片や『ただの物好き』ですから迷惑かけない様に遠巻きに見てましたけど。
地表に石が在るなんて当たり前に見えますけど、見る人が見れば『水の流れ』が分かるそうです。上の写真だと左手前から右奥に流れたとか。
地面を見る限り凸凹していますが、地層として見るとほんの一瞬の出来事に過ぎず、概ね平らに堆積していくそうです。だから一個『黒曜石の加工品』が出ればその深さ程度を探して行けば他にも見つかるとか。
う~ん。一緒に探したいけど『国武先生』遅いお昼を食べに行くそうですので此処まで。
最後に『トリデロック』って何?
この岩の事でした。洞窟を持つ溶岩流の岩で、雨風を凌げる位の岩穴が開いています。
無理して2.3人なら寝泊まりできたのかも。
今から3万5千年前の石器時代、この岩穴に寝泊まりして黒曜石を採取加工し狩猟をした人が居ました。
テントも便利なキャンプ用具も無く山に入り、『黒曜石』から『ナイフ』などを造り出した『人間』の凄さに只々感心するばかりです。