下仁田の食堂

 

 私が中学生の時、内山峠のトンネルが開通しました。

 

 初夏のとある日、仲間四人で自転車に乗り『下仁田』までのサイクリングを計画しました。

 

 自転車通学の友達は『5段変速』や『サイクリング車』 私のはお下がりの『3段変速』それもオンボロ。国道254バイパスとして完成したばかりの道路沿いには、お店も自販機も皆無の時代でした。

 

 朝8時に公園に集合し出発。峠までの上り坂は大変でしたが其処は若さで乗り切りました。

 

 薄暗いトンネルの中に歩道・自転車専用帯は無く、後方から車が来ると縁石に自転車を乗り上げて退避しました。峠を越えると後は下り。出来るだけブレーキを掛けないようにして下りました。群馬県側はバイパス化されていなくて、川沿いの木立の中、『旧川越街道』の狭く曲がりくねった道を走ったのを覚えています。(確か狭い道をトラックも走っていた)

 

 

 当時の『道路地図』では『佐久~下仁田間、35㌔(?)』としか表示が無く、仲間の「片道3時間もかからないじゃん。」の声に「楽勝~」位に考えていました。

 

 『蒟蒻食べ放題¥100』のドライブインで腹一杯食べてお店の人に呆れられたり、喉が渇いたら井戸の水を飲んだりと楽しいサイクリングでした。 

 

 お昼頃『下仁田』に到着し、みんなでラーメンを食べようと一軒の店に入り、『コーラ』や『ミリンダ』(知らねえだろうなぁ)で乾杯しました。

 

 お腹一杯になると帰りの時間が気になりだし、早めに帰るかと下仁田を出発したのが1時頃。最初は冗談も云えたのですが段々無口になり、足の疲れからスピードも出ずに。(帰りは峠までず~っと登り坂!) その内自転車から降りて押して歩くようになり……トンネルに辿り着いた時にはもう夕方でした。

 

 自転車のライトを点けて走る事一時間で私は家に着きましたが友達は更に一時間自転車をこがないと帰れません。親父に話して友達の自転車を車に積んで貰い、家まで送った記憶が在ります。

 

 後日友達の親から学校にバレ、先生から怒られましたけど、不思議と親父からは怒られなかったなぁ。

 

 其の時の教訓:帰りは行きの倍の時間。

 

 

 確かこの店だったと思うんだけど……昔は蝋細工のサンプルがショーケースに並んでいたと思います。

 

 『高崎達磨寺』の帰りに寄ったのですが正月休みかな。閉まっていました。

 

 意外と下仁田の町には飲食店が多く、正月四日なのに営業している店も在りました。

 

 

 『腹が……減った』のこのセリフと顔。

 

 『松重豊』さん演じる『井之頭五郎』さんのポスターが店頭に。

 

 店の前には数人のお客さんが待っています。私事ですが食事の為に並んで待つの大っ嫌い!30分も並んだらもういいや他に行こうとなります。

 

 並ぼうかどうしようか考えていると店の中から声が架かり、先に並んだ人が吸い込まれていきました。

 

 じゃ次か。そんなに待たないだろうと座って待つ事30分。やっと店内に入れました。

 

 

 店内には空きテーブルが数卓と、片付けてないテーブルが数卓。(従業員が足りてない訳でも無さそうだし?)

 

 オーダーして割とすぐに鍋の材料は運ばれてきました。

 

 

 鍋なんかの注文だと、店側は食材を皿に盛るだけ。何故回転が悪い?

 

 正月早々腹を立てるのも良くないからと思い、何も云わずに食べましたとさ。

 

 私が20歳の頃、『青山』に『某アイスクリーム店』がオープンしました。かなりの人気で冬なのにアイスクリームを買うのに1時間程並ぶらしいとTVで報道されました。当時『洋菓子店』に勤めていた私は『並ぶほど美味しい秘密は何だろう?』と寒空の下、行列に並んでみる事に。その日は雪がちらついた事も在り30分も並ばずに一番人気のアイスクリームを購入出来ました。フト私の前に並んでいた人(カップルばかり)達がお金を払った後一様に同じ方向に歩いて行きます。さては座って食べられる温かい場所でも在るのかと後を付いて行くと、裏通りに停められた一台のワンボックスカーの窓をノックし、レシートらしきものを渡して何やら受け取っています。私の前のカップルもレシートを渡してお札を受け取っていました。後ろにいた私も真似してレシートを渡すと¥3000貰えました。其の時中の男に「もう一度並ぶなら一時間は開けてから並んでね」と云われピンときました。

 

 行列は『サクラ』じゃん。多分大学生とかに声を掛け、友達同士の間で広がったバイトなのでしょう。バイト代が時給¥750の時代、¥350(?)位のアイスを自腹で買ったとはいえ、30分並んで¥2500以上稼げる。謂わば『闇バイト』(可愛いもんだけど)が当時から行われていたんですね。

 

 それから『行列』がどうも嘘くさくて……行列を見掛けると横を通り過ぎながら『森山直太朗・桜』をハミングするのは嫌がらせ?